こころ、心、ココロ 日本のゲイシーンをめぐる100年と少しの物語

フライングステージは、ゲイの劇団として、LGBTQ、主にゲイを題材にした作品を作り続けています。LGBTという言葉が公的に使われたのは2006年だそうです。それより前に現在LGBTQと呼ばれるような人々はいなかったかというとそうではないと思うのです。名付けられる前からずっと存在していました。ただ、名前がないと記録には残らないわけで。
「こころ、心、ココロ」では、夏目漱石が小説「こころ」を新聞に連載していた1914年から現在までの日本のゲイシーンを描きます。ゲイという言葉がない時代からの「ゲイシーン」というのはおかしいかもしれませんが、とりあえずということで。
第一部では大正から昭和、第二部では昭和から現代まで、それぞれの時代を生きたゲイたち、ともすればいないことにされてしまう人たちの様々な「こころ」をつむいでいこうと思います。記録には残っていない、でも、たしかに存在していたであろう人々のことを、未来へつなげる記憶として。(関根信一)

<当日パンフご挨拶より>
「こころ、心、ココロ 日本のゲイシーンをめぐる100年と少しの物語」のためにいろいろな資料を読みました。古書を探したり、Amazonで中古本を購入したり。ネットで知りたいことを検索すると、以前には見つからなかった情報がどんどん出てくるのに驚いています。
こんなふうに調べ物をしたのは、2006年の「ミッシング・ハーフ」の初演と2008年の「新・こころ」の初演以来です。もう20年経っているのですね。わからなかったことを調べた人がこんなにたくさんいるんだということに感謝しています。忘れられていくのではなく、どんどん情報が増えていくことのすばらしさ。
起きたこと=事実は受け止めながら、僕はあくまでもフィクションを、お芝居を書いています。
三島由紀夫が戯曲「鹿鳴館」の自作解題に「明治19年11月3日の鹿鳴館における天長節夜会には、ここに見られるような事件は絶対に起こらなかった。但し、歴史の欠点は、起こったことは書いてあるが、起こらなかったことは書いてないことである。そこにもろもろの小説家、劇作家、詩人など、インチキな手合いのつけ込むスキがあるのだ。」(新潮文庫「鹿鳴館」自作解題より)と書いているのが大好きで、新作を書くときにいつも勇気づけられています。
歴史には全く残っていないけれど、こういう人がきっといたはずだと思えるような、歴史でも歴史の裏側でもない、歴史のちょっと横で生きていたような人たちの物語を書いてみたの今作です。
第二部のリーディング「ピンク」は、2021年にここ座・高円寺1で「こどものためのフライングステージ『アイタクテとナリタクテ』『お茶と同情』」を上演した際に、リーディング上演した作品です。今回は新作「ハッピーウェディング」と合わせての上演です。
3年前にはまだめずらしかったピンクのランドセルは、今は特に探さなくても見つけられるようになりました。黒か赤しか選択肢がなかった数十年前を考えると、世の中が変わっていく速さにおどろかされます。そして、それがいつしか当たり前になっていく。その当たり前になる前の記憶はさらさらを消えていってしまって、思い出すのがむずかしいものに変わってしまいます。
亡くなった人のことを思い出すとその人の上に花が降るという話をきいたことがあります。存在したかどうかもわからない、もちろんフィクションの中の登場人物を描きながら、彼らの上にどうぞ花が降りますようにと願っています。
今回はコロナ禍から続けていた記録映像の配信を予定していません。第一部、第二部、どちらかをご覧いただいた方、ぜひもう一作品もご覧いただけたらと思います。
両方ごらんいただいて、100年と少しの時間に思いをはせていただけたらとてもうれしいです。
本日はご来場ありがとうございました。
どうぞごゆっくりお楽しみください。

劇団フライングステージ 関根信一


<登場人物と配役>

第一部 名も無き時代(1914年~1970年)

第1話 漱石の手紙(1914年)
学生1 野口聡人
学生2 岸本啓孝
書生  小林祐真
女中  山西真帆

第2話 震災のあとで(1923年)
正一 福正大輔
勇  石関 準
父親 若林 正
母親 モイラ
級友1 中嶌 聡
級友2 岸本啓孝

第3話 再会(1948年)
和夫 野口聡人
次郎 中嶌 聡
男娼1 石関 準
男娼2 モイラ
はるよ 山西真帆
川口  若林 正
浮浪者 関根信一

第4話 本物と偽物(1958年)
茂   モイラ
英雄  福正大輔
浮浪者 関根信一

第5話 骨の行方(1964年)
長男 若林 正
その妻 石関 準
次男 中嶌 聡
三男(弘)  小林祐真
長男の息子(修) 野口聡人

第6話 別れる理由(1970年)
妻 山西真帆
夫 若林正
秘書(柳沢) 福正大輔
息子(武史) 岸本啓孝

エピローグ
石関 準、岸本啓孝、小林祐真、中嶌 聡、野口聡人、福正大輔、モイラ、山西真帆、若林 正、関根信一


第二部 名付けること、名付けられること(1970年~2023年)

プロローグ
石関 準、岸本啓孝、小林祐真、中嶌 聡、野口聡人、福正大輔、モイラ、山西真帆、若林 正、関根信一

第1話 手の記憶(1970年)
語り手 石関 準

第2話 文通欄の出会い(1971年)
語り手 野口聡人
男1  岸本啓孝
男2  若林 正
男3  中嶌 聡
男4  福正大輔
男5  小林祐真

第3話 ゲイという言葉(1979年)
語り手 関根信一
母   モイラ

第4話 エイズとネコ(1989年)
語り手 小林祐真
医師  若林 正
妹   山西真帆
同僚1 モイラ
同僚2 岸本啓孝

第5話 ゲイの劇団(1992年)
石関 準、岸本啓孝、小林祐真、中嶌 聡、野口聡人、福正大輔、モイラ、山西真帆、若林 正、関根信一

第6話 平田さんのこと(1994年)
語り手  福正大輔
平田さん 岸本啓孝
友人   中嶌 聡

第7話 新木場にて(2000年)
男1  中嶌 聡
男2  野口聡人

第8話 はじめてのパレード(2010年)
語り手 福正大輔
母1  石関 準
母2  関根信一

第9話 リーディング「ピンク」「ハッピーウェディング」
「ピンク」
語り手 若林正
けんと 野口聡人
おかあさん 石関準
おばあちゃん モイラ
あいり 山西真帆
おとうさん 小林祐真
犬の子 関根信一
猫の子 中嶌聡
男の子 岸本啓孝
ゆうま 福正大輔

「ハッピーウェディング」
語り手 若林正
けんと 野口聡人
ひろかず 岸本啓孝
おかあさん 山西真帆
おとうさん 若林正
オスカー 石関準
ハーヴェイ 中嶌聡
フレディ 小林祐真
アラン  福正大輔
ゆきお モイラ
男   関根信一

第10話 演じること、演じられること(2023年)
小町谷健斗 野口聡人
三上宏和  岸本啓孝
池内真紀  モイラ
斉木彩香  山西真帆

期間 2024/03/06 (水)~2024/03/10 (日)
上演時間:約1時間50分(休憩なし)を予定
劇場 座・高円寺1
出演
  • 石関準
  • 岸本啓孝
  • 小林祐真
  • 中嶌聡
  • 野口聡人
  • 福正大輔
  • モイラ
  • 山西真帆
  • 若林正
  • 関根信一
脚本
  • 関根信一
演出
  • 関根信一
サイト

http://www.flyingstage.com/top.html

※正式な公式情報は公式サイトでご確認ください。

スタッフ 照明:伊藤 馨
音響:樋口亜弓
衣裳:石関 準
舞台監督:吉田雅人
イラスト:ぢるぢる
フライヤーデザイン:石原 燃
制作:渡辺智也、三枝 黎、水月アキラ
協力:M・M・P、OVERTONE、大沢事務所、さんらん、十七戦地、プロジェクト・ドロブラ、劇団桃唄309、ユニークポイント
主催:劇団フライングステージ
提携:NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺
その他注意事項 ・新型コロナウイルス感染防止のため、ご来場の皆さまには自主的な防疫へのご協力をお願いしております。また、体調に不安を感じる方、直近に感染者との濃厚接触が確認される方は、ご来館をお控えくださいますようお願いします。
・作中、歴史的背景から、現代では差別的とされるセリフがあること、また、客席通路を演技エリアとする演出があることをご了承ください。

◎以下のサービスは劇場で承ります。
お申込・お問い合わせは座・高円寺チケットボックス(TEL:03-3223-7300 10:00-18:00 月曜定休)まで。
・車いすスペースをご利用の方は、前日までにお申し込みください(定員あり)。
・障がい者手帳をお持ちの方は、座・高円寺チケットボックス(窓口・電話)での予約に限り1割引きになります。
・託児サービス(定員あり・対象年齢1歳から未就学児・1週間前までに要予約)料金:1,000円。

※本公演は、杉並区とパートナーシップ協定を結ぶ日本劇作家協会が、会員応募作品より座・高円寺に推薦する「日本劇作家協会プログラム」です。

座・高円寺1(東京都)

期間 2024/03/06 (水)~2024/03/10 (日)
上演時間:約1時間50分(休憩なし)を予定
タイム
テーブル
2024年3月6日(水)- 10日(日)
6日(水)19:00A
7日(木)14:00A★◎ / 19:00B
8日(金)14:00B★◎ / 19:00A
9日(土)14:00A★◎ / 19:00B
10日(日)14:00B

A:第一部 名も無き時代(1914年~1970年)
B:第二部 名付けること、名付けられること(1970年~2023年)

*★は託児サービスがある回です。
*◎はアフタートークがある回です。
 7日(木)14:00 A:第一部 平良愛香(日本キリスト教団川和教会牧師/ゲイ男性)
 8日(金)14:00 B:第二部 松岡宗嗣(ライター/一般財団法人fair代表理事)
 9日(土)14:00 A:第一部 砂川秀樹(文化人類学者)
*受付開始、開場は開演の30分前です。

劇場 座・高円寺1
料金 0円 ~ 6,500円
【発売日】2024/01/27 (土)
≪全自由席≫
一般:3,500円 学生:2,500円 高校生以下:無料(未就学児を含む)
ペアチケット 6,500円 2作品目(A+B)/リピート(A+A、B+B)2,500円
*1作品目をご覧になったあと、別プログラムまたは同じプログラムを上記価格でご覧いただけます。ご予約の際、2作品目またはリピートとお伝え下さい。当日は、ご覧になった1作品目のチケットをお持ちいただくようお願いいたします。
*ご予約の際に2公演分のご予約が可能です。2作品または同じ作品を2回ご覧いただく場合のチケット代は計6,000円となります。
*税込 前売・当日同一価格
*ペアチケット(2名)・学生チケットは劇団のみ取り扱いです。
*学生チケットは、当日、学生証の提示をお願いいたします(小中学生は不要です)。
*当日券は開場と同時に発売いたします。
チケット取扱
03/06 03/07 03/08 03/09 03/10
14:00
19:00

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